「奏さん、わたし奏さんだけだから」
ボソッ
気まずい空気が流れた中に鈴の音のような声が聞こえた。
「りお?」
「わたしの好きなのは、えと……奏さんだけだから」
首のキスマークを押さえて恥ずかしそうに呟いた。
「……だから、ね?」
やきもちなんてりおの一言でぶっ飛んだ。
「えっと、あの……んと、わたし温泉に入ってくる!!」
バッと立ち上がり、りおはギクシャクした動きでバスタオルを持って貸し切りの温泉へと小走りに向かった。
「なんだよ。その勝ち誇った目は!」
「いや、別に。」
「いいから、りおの後を追いかけろよ。俺らは部屋に戻る。これ以上おまえたちに当てられてたまるか!」
よっこらしょ。
テーブルに手をついて立ち上がり仁が俺に顔を近付けた。
「泣かせんじゃねえぞ」
「ああ。遊びは終わりだ」