「……若、…」
「あ?」
「りおさんに、」
「え?わたし?」
りおがきょとんとして俺を見たが素知らぬフリをした。
「わたしに?何か?何か顔にでも付いてる?」
「……いえ、何でもないです」
「仁お兄ちゃんもなんか変だし朝からどうしたの?」
りおは気づかない。
昨日体調を崩したりおを気遣い部屋で4人で朝食を食べているのだが、仏頂面をした仁は俺を睨んだままだ。
「仁お兄ちゃんどうしたの?」
「別に!」
「もう、朝から仁お兄ちゃんってばそんな顔して」
りおはまだ気づかない。
毅は真っ赤な顔をして俺を見ないようにしている。
「鈍いヤツだな。りお、鏡見ろよ!」
「え?」
「いいから、鏡見ろよ!」
「え?」
仁の苛立った声でりおが旅館の浴衣姿のまま鏡の前に立った。
一瞬の間の後に、
「きゃあああっ!」
悲鳴を上げて手のひらで首筋を隠したりおが駆け込んできた。
「そ、」
「そ?」
「やだ!奏さんっ!!」