うるさい輩を蹴飛ばし横になったりおの寝顔にキスをした。

体は多少熱いが高熱でもない。

りおが眠って目を覚まさないのを確かめて、さっき女医から処方された薬の袋を探した。

りおのもらった薬。

女医から渡された時にほっとしたような笑みを浮かべたのが気になる。


りおのカバンを開くとそれはすぐにあった。



―――ビタミン剤?



処方箋には一種類だけの錠剤。
しかもビタミン剤。


「……風邪、じゃ、ないのか?」



りおの眠る寝室を振り返る。

今すぐどういうことなのか聞き出したい。


さっき女医からもらった薬は何なのか。
本当は風邪じゃないのか。
風邪じゃないならいったいりおの身に起こってるのはなんなのか。




りお、おまえに何が起こってるのか?




答えろ。

俺に何を隠してる?
何を隠そうとしてる?





いったい何を―――



りおの寝顔を見つめるしかなかった。