やっと出てきたりおは、

「ただの風邪だって。急に寒いとこに来たから体がついていけなくて熱を出したんだろうって」

そう言って笑った。


「2、3日もしたら良くなるだろうって」

「そうか、風邪か」

「うん」


薬を処方され、
女医とりおが小声で話をしてりおが頷き笑顔になった。



―――くすり?



薬を受け取り、女医に礼を言い待たせてあるタクシーに乗り込んだ。

上着で包み込み、毅の用意したブランケットを掛ける。

体調の優れないりおを休ませるため、予定をキャンセルしそのまま旅館にチェックインした。


「りおが心配だから看病する」と、喚いた仁が部屋に入ろうとするのを蹴飛ばし出してやった。


「看病は俺がするから散れ!」

「俺の妹だぞ!」

「気やすく呼ぶな!俺の女だ!」

「まあまあ、りおさんの看病は若に任せましょうよ。仁さんはわたしと隣の部屋です」