「大丈夫か?」
りおの顔色は冴えない。
最近疲れてるのかあまり寝てないからなのか居眠りしてばかりいた。
「大丈夫だから」
心配させないようにと笑みを浮かべる。
「どうぞ、中に」
「はい」
ちらりと中を見る。
「奏さん、行ってくるから」
「ああ」
パタンとドアが閉じられてふと、壁に貼ってあるポスターが目に入った。
幼子が母親の膝の上にいて本を読んでもらってるポスターだ。
「りお、風邪だろうな」
「仁」
「こっちは寒かったからな」
「………」
「寒がりだからなりおは」
落ち着かない様子で仁が隣で立ったり座ったりを繰り返す。
「落ち着けよ仁」
「落ち着いてるさ」
「犬みたいにうろうろすんな」
診察室からなかなか出てこないりおが心配になる。