「うるせえな。男にりおの肌を見せてたまるか」
腕にもたれてうとうとするりおを見る。
誰にも触れさせたくない。
「とにかくもう着きますので」
苦笑いしたタクシーの運転手が国道を曲がってすぐ車を停めた。
「りお、立てるか?病院に着いたぞ」
そっと目の奥を覗きこむ。
「うん。寒いだけだから…大丈夫」
「無理すんな」
「うん」
タクシーの運転手が気を利かせて先に病院に入り午後休診だった先生を奥から呼び出した。
「先生お休みのところすみません。旅先で熱を出したお嬢さんがいて診ていただきたくて」
「すいません。俺の連れなんですが」
ふらついたりおを支え院内へ入り、
「それはお困りでしょう、さ。中へどうぞ」
と、待合室へと案内された。
壁は薄いピンク。
小児科掲げるだけあって、並べられているぬいぐるみにも好感が持てた。
タクシーの運転手も一緒にりおの容態を心配している。