「クション」


「ほらまた鼻水だ。風邪かもな」

仁が箱から取り出した紙でりおの鼻を摘まんだ。


「仁、りおに触るな」

「触ってねえだろが。ただ鼻を摘まんだだけだ」

仁に軽くあしらわれた。



「あ、ところで今から行くその医者というのは男か?」

仁と話をしているうちに突然思い浮かんだ。



「小児科、内科の女医さんです」


俺の凄みのある眼力に負けたのか運転手の声が小さくくぐもった。


「ならいい。その病院に連れてってくれ」

「医者なら男でも女でもいいじゃないか?」

「男にりおの裸を診られてたまるかよ」

「は?医者は体を診るのが商売だろうが。
医者が男だったら診せたくないってんだからまったく」

「若はりおさんにベタ惚れですもんね」

呆れ顔をしている仁と弱り顔をしてる毅がいた。