丸井を故郷まで送り届け、俺の気持ちの中でも一区切りがついた。


龍神会との雑魚とのいざこざはまだ燻っていたが、幹部クラスは親父が目障りだと一掃して消した。

龍神会がもう組織ぐるみで大神を襲うことはないだろう。


丸井の弔いも済みほっとしたのもつかの間。



「奏さん、なんか寒いの…」

「どうした?りお?」

「…寒いの」


小刻みに震えるりおの額に手を当てると熱い。
薄着で風邪をひいたのか、額も首も熱かった。



「毅!悪いが今日はどこにも寄らなくていいからこのままホテルでも旅館でも行ってくれるか?
りおが熱を出した」


「熱?」

「わかりました。このままホテルへ向かいましょう」

「おい、待て。りおを先に医者に診せた方がいいんじゃないか?」


仁がタクシーの運転手に、近くに医者があるかを尋ねると、小さな病院ならあると答えた。


「そこに行きますか?」

運転手が気を使い行き先を変更した。