「さ、さぶーい」

12月始めの北国。


予想以上に気温が低い。
飛行機から降りてすぐにりおに上着を重ね着させた。


「クシュン」


鼻が赤くなってるりおを引き寄せる。



「りおさん、荷物持ちますよ」

「あ、ありがとう」

「毅、これも頼む」


毅がりおの荷物を受け取り俺の荷物もその上にのせた。


俺の胸には大事なものが抱かれている。

今日、丸井を故郷へと送り届ける。



「りお、鼻が真っ赤だな。ほれ、鼻水出てるぞ。これで鼻をかめっ」

「やだ、仁お兄ちゃんいだいっ」



りおと初めての遠出は、りおの面倒を見たがる仁と、榊の認めたしっかりものの毅が同行していた。


「ふたりきりがよかったがな」

ポツリ。

「若、遊びで来た訳じゃないので」

「それはわかってるが」


ただ、りおを溺愛する仁が俺のりおに触れるのが苛立つ。