甘い吐息を耳に、柔らかくて温かいりおの内に身を沈め、その背中を抱き続ける。
りおが切ない息を漏らす。
「……んっ、」
その細い肩を閉じ込めて自分のものにする。
「りお」
悲しみも喜びもふたりで分け合う。
抱えられない悲しみも苦しさも切なさもふたりで分ければ痛みも半分だ。
「……そうさん」
濡れた黒曜石の瞳が熱を帯びる。
「なんだ?」
「わたし、……壊れても、いいから」
ピクッ
「……そんなに……柔な体じゃない、から」
「りお」
ぎゅうっ
骨が折れるだけ精一杯の気持ちで抱き締めた。
りおの一言で理性がぶちギレた。
狂ってる。
もうすでにりおに狂ってる。
芯の強い瞳に、
皆を虜にする言葉に行動に狂ってる。
―――狂ってる