階段脇に待ち構えた太い男が転がり出て毅に手首を撃たれて転げ回る。
仁に横腹を踏みつけられ、一思いに殺せと叫んだ。
「それがおまえの望みならな」
頭に銃口を突きつけると、
「や、やめろ!!」
泡を噴いて血走った目で許してくれと懇願した。
胸のバッチは金色。
金が意味する名がある輩には見えなかったが。
「死ね」
「やめ、」
バン!!
空を撃つ。
「、」
太い男は当たりもしない弾に勝手に驚いて白目を剥いて床に転がって失禁した。
「肝の小せぇ男だな」
「若、普通頭に銃を突き付けられて撃たれたら誰でも失神しますよ」
そうか?
その男が弱えぇだけだろが。
「若、上に行きます!」
毅の下の衆が失神した男の腕を反対に煽り、片足も折った。
「うああああっ!」
悲鳴とも絶叫とも言えない叫びを残してまた失神した。