｢おまえに見せたいものがある｣


｢―――なに？｣


｢いいから来てみろ｣


｢？？｣

小さな箱？


俺の傍に立つりおがシンプルな木箱に気づいた。



｢静かに見てろよ｣

｢うん｣


しゃがみ込み小さな箱の蓋を開けた。


小さな箱から緑色のほのかな光がフワリと浮いた。




―――ホタル！



いくつもいくつものほのかな緑色の光が、ゆっくりと点滅しながら宙に浮いていく。


浮いた光は近くの葉に止まり淡く点滅を繰り返す。


俺の髪にも止まり、りおの艶のある髪にも止まり濡れ羽色を照らしだす。



｢りおに見せたかったんだ｣



真っ直ぐにりおを見る。


優しく柔らかい瞳と、ホタルの舞い飛ぶ光。


その中で息もできないほど美しいりおを見つめてる。



｢―――きれい｣

｢おまえに見せたかった｣

｢奏さんも…きれい｣