―――薄闇に咲く白い花



俺がりおの為にと誂えた藍染めの浴衣を着て、髪を巻き上げてピンで留めた姿。


一階のテラスから出てきて、俺が待ってる中庭の中を歩いてくる。

俺が好きな白くて小さな花たちの中を優しい下駄の音を響かせて歩いてくる。



「奏さん?どこ?」



奥で待っていると中庭に佇んでるりおの姿があった。

シャワーの名残で前髪が濡れて雫が滴っている。

藍の浴衣を着て小首を傾げ庭の池の方から俺を見下ろしていた。



「奏さん?」


宵の口の中庭は虫の声で賑やかになっている。


「奏さん?」

「りお、静かにこっちに来てみな」


低い小さな声で手招きした。


???


包帯を巻いた左手を差しのべるとりおがそっと俺の手を取った。