――…どれくらいそうしていたか、よく分からない。
ふと、周りが無音になった事に気付き、ずっと見ていなかったキレハがいた後ろを振り返った。
俺の目に映るのは“赤”
そこは、一面が“赤”だった。
一瞬、赤い壁や床があるかのように錯覚させる程。
そんな“赤”から少し離れた木の根元で、キレハは気を失っていた。
駆け寄ってみると、特に…というか、全く外傷はなく、ただ疲れて意識を失っているようだった。
「キレハ……っこんだけの人数、を……一人、で…」
その無傷のキレハを見ると、本当にキレハが倒したのかと疑問に思う。
兵は、少なくとも十五人はいた。
それを、キレハたった一人で倒す事なんて……
疑問が次から次へと浮かぶが、とりあえずは此処から離れるのが先だ。
下手すると、また兵がやってくるかもしれない。
そうしたら、今度は、俺達……も――――
抱き抱えると、俺の肩に額がつくキレハを見て、ミルの言葉を思い出した。
そうして、俺は心の中で誓いを立てた。
――キレハを、俺は守り続ける――
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