ラルside
「お願い……ラ、ルにぃ…」
キレハが兵達をいとも簡単に倒していく中、俺はミルの止血をしようと布を探していた。
その時、ミルがか細く声を出した。
「どうしたっ!?」
慌ててミルの元へ駆け寄ると、震える唇で、ミルは何かを告げようとしていた。
何だろう、と口元に耳を寄せると、消えそうな声で口を開いた。
「…キ、レハさ…を……守っ…て、あ……」
ミルの言葉は最後まで紡がれる事はなかった。
途中で瞼を閉じたミル。
それが、どういう意味か、俺は分かってしまった。
――もう、息絶えてしまった――
「……っそ…ミルっ!ミルーーー!!」
叫んでも、ミルは、俺に笑いかけてくれはしない。
ラル兄、と呼ぶこともない。
分かっていても、叫ばずにはいられなかった。
涙が次から次へと溢れてきて、男なのに情けない、と思いながらも、俺は涙を流し続けた。