「・・・!」
「楓谷のことをもっと知りたい、いっぱい尽くしたい。」
 楓谷は少し俯いた。
「楓谷。俺と付き合ってくれませんか」
 その場が沈黙で包まれた。
 楓谷は若干俯いたまま。
「・・・私ね。本当は神守君が一緒に帰ろって言ってきたり、お父さんの件でもカウンセリングの件でも・・・すごく助かったし、嬉しかった。」
 楓谷もポツリポツリと話しだした。
「私は神守君のおかげで変われた。自然になれた。笑えるようになったの」
 楓谷は顔を上げた。
 その顔は俺達が出会った時よりも遥かに生き生きとしていた。
 輝いていた。
「全部、神守君が居てくれたから。私だって、これからも神守君と一緒に居たい!」
 俺はこの言葉に期待を持った。
「私で良ければ、付き合ってください。ずっと、一緒に居てください!」
 楓谷は自然な笑顔で俺に告げた。
 俺は泣きそうになった。
 でも俺はそれをこらえて、楓谷と同じように笑った。
「ずっと一緒にいよう」
 俺は楓谷の手を握りしめた。
 それを楓谷は強く握り返した。
「一緒に帰ろう!」