「はい。」
 先生に手渡して俺を見てきた。
 楓谷はなびだった。
 楓谷は驚くこともせず、ただ俺の足を眺めていた。
 いつの間にか先生はもう湿布を貼り終えていた。
「ちょっと私、神守君の担任の先生に伝えてくるわね。病院に行かなきゃダメだから。神守君はここに居てね。」
 そう言って先生は保健室から出て行ってしまった。
 つまり、今、俺は楓谷と二人きり。
 妙な沈黙が俺達の間に流れる。
 俺は台から足を下ろし、靴下を履いた。
 目の行き場がなかった。
 こういうの嫌いなんだよな・・・。
「なあ。」
「?」
 ちょっと声をかけたら楓谷はすぐ俺の方を見てきた。
「今日の朝とか昨日のこととか。なんで逃げんだよ。」
「・・・・・。」
 なんで黙る・・・。
 俺はため息をついて、楓谷にはもう話しかけないと決意した。
「・・・怖いし。」
 しばらくしたら楓谷が言った。
「怖い?俺が?」