「・・・」
「なんでやったか教えてよ」
　何も言わない彼女のきつく握り締めた手に涙がポタポタと落ちていた。
「・・・まぁ、何か理由があったんだろ。」
「だって・・・アンタ・・・鈍いんだもん・・・」
「？」
「・・・アンタのことが好きだったんだもぉん！」
　蓬田はわんわんと泣き出した。
「・・・蓬田・・・」
　俺は彼女の気持ちを考えず楓谷のことばかり・・・。
　自分を俺はものすごく無神経な奴だと思った。
「こんなことしたら嫌われるって思ったけど・・・楓谷さんのことで暴力されたら楓谷さんと関わりたくなくなると思って・・・。楓谷さんの悪い噂流してたの私だしぃ・・・」
「・・・」
「楓谷さんを助けてたのだって・・・楓谷さんが好きなアンタなら私のこと見直してくれると思ったからぁ・・・」
　蓬田は俺のことが好き・・だった？
「ごめんなさぁぁい・・・！」
　蓬田はもうボロボロになって泣いた。
「蓬田・・・。俺こそゴメンな。」
　俺は蓬田の隣にしゃがんで言った。
「うぅ・・・。謝らないでよ・・・」