俺は呼び止めた。
 もしかしたらただの俺の勘違いかもしれないけど・・・。
 彼女は俺を探していた。
 息を切らして。
 だったら・・・!
「あのさあ・・・」
「何なのよ!そうやっていっつも呼び止めて!いい迷惑よ!」
 話そうとした俺を差しのいて蓬田が叫んだ。
「蓬田・・・」
「アンタなんか・・・死んじゃえばいいのに・・・」
 蓬田が保健室から飛び出してしまいそうだったので咄嗟に腕を掴んだ。
「話を聞けよ!俺の話を!!」
 蓬田の力が抜けて行くのが分かった。
「ちゃんと話そうぜ」
 蓬田を椅子に座らせて俺は立ったまま話した。
 蓬田は俯いたままだった。
 でも彼女は泣いている、それだけは分かった。
「責めないよ、お前のこと。」
「・・・うざい」
「お前が本当にやったとしても責めないからさ」