涙が傷口にしみった。
「そう。じゃあ、行こう。保健室」
 楓谷と保健室へ向かった。
 向かう途中の空気は相変わらずだった。
 俺達がこうやって通っても誰も気付かない。
 まるで俺達の存在がないかのようだ。
 保健室のドアを開けると佐藤先生が居た。
「あら、神守君!?」
 先生も驚いていた。
「目がズキズキするって・・・」
「まあ大変!」
 先生は俺を乱暴に椅子に座らせた。
 眼帯を取った。
「あら・・・。どうしたのよ、もう。この不良!」
 先生は母さんみたいに怒った。
 でも先生はこの時分かったはずだ。
 ズキズキしたのは涙でしみったからだって。
 俺が泣いたんだって分かったはずだ・・・。
「大丈夫よ」
 俺に眼帯を付けさせ、先生は笑った。
「すいません・・・」
「いいのよ。先生には言っとくわね。」
 先生は保健室から出て行ってしまった。
「大丈夫?」
 楓谷が心配そうに言った。
「ああ。悪かったな、心配かけて・・・」