すると、下から誰かが階段を登ってくるのが聞こえた。
 俺はどうしようとオロオロしているうちに誰かが顔を出した。
「居た・・・」
 それは楓谷だった。
「楓谷・・・」
 楓谷は俺の目に溢れた涙と眼帯を付けた目を見て驚いていた。
「どうしたの!?」
「いや、昨日・・・父さんに殴られてさ」
 笑いながら言った。
 でも楓谷はもっと心配そうにした。
 そうだ、楓谷はいつも父さんに暴力をふられていたんだ・・・。
「なんで・・・・殴られたの?」
「え・・・。昨日の夜、遅くまで外行っててさ・・・。」
「また・・・どこを出歩いてたのよ」
 ホッとしたように頬を緩める楓谷。
「ごめんな、心配かけて・・・」
 楓谷は首を横に振った。
「もう行こうよ。今HR終わった頃だし、こっそり入っちゃえば大丈夫だよ」
 楓谷は立ち上がったから俺も立ち上がった。
「・・・保健室行こうかな」
「え?」
「なんか目がズキズキするんだ・・・」