「・・・え」
「そう言ってもアンタは私を軽蔑しないんだよね・・・」
 蓬田が・・・噂を流していた・・・?
 蓬田が・・・俺を襲わせた・・・?
「全部私がやったこと・・・アンタに許されたいなんて思ってないわよ」
「・・・」
 俺は驚きのあまり声が出せなかった。
「なんで黙ってんのよ!」
 彼女はずんずんと俺に近づいてきた。
「何か言ったら?アンタの大好きな子のことまで汚したのよ?・・・らしくないわね。」
 それでも黙っている俺に彼女は痺れをきらした。
 蓬田は俺の襟を掴みかかった。
「何なのよ!言いたいことあるなら言ってよ!」
 ゆっくりと顔を上げると蓬田は怒っているようでどこか悲しい顔をしていた。
 俺は蓬田の手を掴んで、手を放させた。
「蓬田はそんなことしないよ。」
「・・・!」
 蓬田は力が抜けたように俺から離れた。
「なんで・・・・。ここまできてまだ偽善者ぶる気か!!」
 そう言って蓬田は走って行ってしまった。
 蓬田はそんなことするような奴じゃない。
 知ってるんだ。