「だってさ、あの時入れるわけないじゃん!恐かったでしょ?俺だってそこで女子に助けられても格好悪いしさ!」
「・・・神守君。」
 蓬田はまたぼろぼろと泣き出した。
「だから泣くなって・・!」
 こんなに蓬田が責任を感じてくれた。
 蓬田はすごく良い奴だ。
 誰に対しても分け隔てなく接して。
 学級委員長として頑張って・・・。
 俺はそんな彼女が好きだった。
 蓬田は俯いて体を震わせていた。
「蓬田・・・。もう行こうよ」
 そして俺達はまた歩き出した。
「ここで・・・いい。」
 やっとで蓬田が喋った。
 家まで送ると言ったがいいって何度も言われるもんだからそこで別れることにした。
「じゃあ、気をつけろよ。」
 2人、違う方向へ歩き出した。
「・・・ホント、偽善者ぶってるよね」
 後ろから低く暗い蓬田の声がした。
 振り向くと蓬田はこちらを見て睨んでいた。
「そうやって良い子ぶって・・・楓谷さんと付き合いたいとかキモいんだよ!」
「蓬田・・・?」
「あの噂流したのも、アンタを襲わせたのも私だよ!」