朝、俺の部屋に母さんが入ってきた。
「翼・・・。今日、学校・・・行く?」
 顔や体が痛い。
 こんな姿、きっと楓谷が見たら驚くどころじゃ済まないだろう。
「・・・行かなくていいかな」
「さすがにそんな格好で学校には・・・」
 俺は行かないというように布団に潜った。
 母さんは部屋を出て行った。
 しばらくすると下から母さんの声が聞こえる。
 電話をしているようだ。
 母さんは電話になると声がでかくなる。
「お兄ちゃん・・・?」
 朝陽が静かにドアを開けて入ってきた。
「大丈夫?学校、休むの?」
 俺は布団の中で頷いた。
「痛いの?」
 布団の中で頷いた。
 お大事にねと言って朝陽は部屋を出て行った。
 それから俺は部屋から出なかった。
「翼。ちょっと私達、出かけるから・・・何かあったら電話してね」
 母さんと朝陽が出かけて行った。
 父さんは9時にしか帰ってこないから今は俺が家に1人だけだった。
 時計を見ると5時を指していた。
 すると、電話が鳴った。