「・・・楓谷、いますか?」
 保健室に行くと、佐藤先生が椅子に座ってくつろいでいた。
「あぁ、神守君。はなちゃんは職員室らへんにいると思うよ。・・・早く行った方がいいかも。」
「え、はい・・・。」
 俺は急いで職員室へ行った。
 すると、楓谷が職員室前で誰か先生と話しているのを見た。
 原先生・・・。
 カウンセリングの先生だった。
 そうか、楓谷はカウンセリングを受けてたんだ・・・。
 今、話しかけてはいけないような気がして俺は静かにその場を去った。
「神守君?」
 でも楓谷は気づいた。
 俺が戻るところを。
「・・・よぉ。」
 俺は慌てて振り返り平然と喋った。
「それじゃ、気をつけてね。」
 と言って、原先生と相談室へ入って行った。
 やっぱり、俺なんかにあんなこと言ってもすっきりするはずないよなぁ。
 ため息をついて帰った。
 今日もなんとなく夜、散歩へ出かけた。
 行くなって言われたけど無視してここまで出てきた。