朝陽は俺の勉強道具をカバンに詰めてくれていた。
「お兄ちゃんは急いで支度しなよ。もう時間ないよ?」
 時計を見ると7時50分を指していた。
「げっ」
 俺は顔を洗って歯を磨いて、髪がぼさぼさのまま家を飛び出た。
「お兄ちゃん!ほらっ!」
 朝陽がカバンを思い切り投げてきた。
「さんきゅ」
「気をつけなよー!」
 朝陽に手を振り返して走って学校へ向かった。
 急いでいたせいで周りが目に入っていなかった俺は、コンビニから出てきた女の子に気付かずぶつかってしまった。
「うわっ!」
「きゃっ」
 一瞬体勢を崩したが踏ん張り転ばずに済んだ。
 でも彼女はそうではなかった。
「わりぃ。立てるか?」
「はい・・・・。」
 よく見るとその子は昨日の少女だった。
「あ。」
「・・・!・・・ご、ごめんなさい!」
 また謝って行ってしまった。
 でも・・・昨日と違うところがあった。
「大和中の制服・・・。」