「あ・・・。」
 でもそれを楓谷が前に立って邪魔をする。
「どした?」
「・・・靴がないの。上履きが。」
 楓谷の足元を見ると、確かに上履きを履いていなかった。
「俺も探したげる。」
「あ、大丈夫だよ。もうボロボロで買い換えようとしてたとこだったし。」
「でも、今日は・・・・。」
「借りるから平気。」
 楓谷、なんか強くなったなぁ。
 自然に頬が緩んで微笑んでしまった。
 でも、楓谷はあまり笑わなかった。
 楓谷は保健室へ、俺は教室へ向かった。
 何だか俺、楓谷が元気になったから俺まで気分良くなったかも。
「おい、神守?何ニヤついてんの?」
「え、嘘・・。」
「気づいてなかったのかよ。」
 クラスの男子に笑われて気づいた。
 1人で笑ってる・・・キモい。
「なんかいいことでもあったか?」
「んー・・・。特に何も。」
 あっそ、と言ってそいつは行ってしまった。
 そういえば、この頃楓谷のことばっか考えてるな。
 ・・・キモいな。