俺と楓谷の親父が口論になりそうなところで楓谷が口をはさんだ。
「楓谷・・!」
「やめてよ!私は今別に苦労なんてしてないし!神守君・・・何か誤解してるみたいだけど・・・」
「楓谷!!」
「そう本人が言ってるぞ?てめー、何も知らねえで何言ってんだよ?」
 ショックだった。
 でもやっぱりそうだよな。
 親父の前で侮辱するようなこと言えるわけないよな。
「楓谷、行くなよ。」
「神守君!」
「楓谷は・・・!今まで辛い想いしてきたんだろ!?言ってたじゃねえか!この前、俺に心打ち明けてくれたじゃねーか!?それで、俺が守るって言ったじゃねえか!!!」
「・・・!」
 そうだ。
 俺はあの日、誓ったんだ。
 楓谷を守る、と。
「おっさん。はなびは、今まで辛いことも苦しいことも1人で何とかしてきたんだ。分かってやってくれよ。家でも学校でも辛い思いしてるはなびを俺、見たくないんだよ。おっさんもだろ?」
「・・・勝手にしろ!」
 楓谷の親父はそう言って窓を閉めてしまった。