「あの・・・!」
 楓谷が何かを言いかけた時。
「おい!はなび!何やってんだよ、早く行って来い!」
 窓からはなびの親父さんと思われる男が顔を出していた。
 楓谷は物凄いびっくりしていた。
「はい!」
 楓谷の親父さんは俺に気付いて舌打ちをした。
 楓谷は俺に行くねと言って俺の手を腕から離して走っていく。
 だが、俺にはそれが許せなかった。
 こんなに怯える楓谷を見捨てるわけにはいかなかった。
 俺は楓谷の腕を再び掴み、楓谷の親父に聞こえるような声で叫んだ。
「行かなくていい!」
 その場が凍りつくのが分かった。
 でもそんなことを気にしてこのまま楓谷を行かせるわけにはいかない。
「ちょ・・・!」
「あぁ?」
 さすがに楓谷の親父もキレた。
「ふざけんな・・・。楓谷・・・はなびをこれ以上苦しめんな!クソジジイ!!」
「神守・・・君・・・!?」
 俺の声はこの細い道に響き渡った。
「おい、ガキ・・・!」
「待って!」