「か、買ってきます!」
「急げよ!」
 と、何かを蹴る音がした。
「嘘だよな・・・!?」
 俺はその家の玄関まで走った。
 もしこれが楓谷なら出てくるはず。
 ガチャッ!
 勢いよくドアが開いて、人が出てきた。
 それは紛れもなく楓谷だった。
 すぐにそれを確認した俺は楓谷の腕を掴んだ。
「・・・!?」
 俺を見た瞬間、さっき会った時よりも驚いた顔をしていた。
「楓谷!?」
「なんでいるの!?」
 いつもよりはっきりとした口調で叫ぶ楓谷はとにかく必死だった。
 楓谷はドアを閉めて俺を外に連れていった。
「楓谷・・・」
 俺は楓谷の腕を離さなかった。
「なんで・・・いるの・・」
 俯いてこちらを見向きもせず言う楓谷。
「散歩してたら、楓谷の声聞こえたから。」
 俯いてた楓谷が顔を上げると本当に困ったような顔をしていた。
「・・・聞こえてたの?」
「うん。全部聞いた。ごめん。」
 楓谷は深呼吸をして自分を落ち着かせていた。