気分はまだ晴れないけど朝陽や母さんに心配をかけてしまうからもう帰ることにした。
 まだ1歩も進んでいないのに大きな音で止まってしまった。
 ガッシャーンと。
 その直後に外まで聞こえてくる怒鳴り声が。
「バカ野郎!」
「ごめんなさい!」
 ダミ声のオヤジの声と女の子の声。
「うわぁ・・・。」
 こういうウチって本当にいるんだなぁ。
 でも、なんだかさっきの女の子の声、聞いたことがある。
 本当はこんなことも思いたくなかった。
 あの嫌な予感は・・・。
「てめぇ、はなび。俺に酒を飲ませねぇつもりか?あぁ!?」
 この家、窓開いてるの気づいてねえのかな・・・。
 ・・・?
 ちょっと待てよ・・。
「はなび・・・?」
 楓谷って、下の名前・・・はなびだったよな・・・。
 うそだろ・・・。
「そ、そんなつもりは・・・!」
「これ、どうすんだよ!」
 この声は確かに楓谷だ。