楓谷はこちらを振り返った。
「俺・・・。楓谷のこと、心配なんだ。何かあったら言えよな!」
 自分でどれだけ大それたことを言ったのか、分からなかった。
「・・・!」
 楓谷はすごく驚いていた。
 ははって笑って誤魔化した時には遅く。
 楓谷の目から涙が零れていた。
「え!?楓谷・・・!?」
 楓谷が泣いた・・・。
「うぁ・・・。ごめんね・・・。」
「なんで謝んだよ。つーか、泣くな!」
「あ、あたし・・・!こんなに優しくされたこと・・・ないから・・・!」
「うん」
 今は、楓谷のそばに居たい。
 そう、強く思った。
「ずっと・・・酷いことばっかされて・・・辛くて・・・。うぅ・・。」
「うん」
 ただ聞くことしかできない俺。
「でも・・・神守君みたいな人が・・・居てくれて・・・。」
「・・・うん。」
「ありがと・・・!」
 耐え切れなくなった俺は、楓谷のことを抱きしめていた。
「楓谷・・!」
「・・・・!!」