そして楓谷はスタスタと玄関を出て行った。
 それを俺は呼び止めた。
「一緒に帰らないか」
 何も言わず、楓谷は一緒に帰ってくれた。
「なんで・・・また・・・。」
 沈黙の中、楓谷が先に口を開いた。
「うーん・・・。嫌かな。」
 また、誤解されるような言い方をしてしまった。
 でも楓谷は首を横に振った。
 驚いた。
 その時俺は、楓谷が可愛く見えた。
「いいのか」
 照れ隠しに笑いながら言った。
 楓谷は頷いた。
 もしかしたら俺・・・。
 いや、ありえない。
 ないないない!
 なんか顔が熱い。
「あの・・・」
 急に楓谷が喋ったのでひどく驚いた。
「何!?」
「もう、家近いから・・・。」
「お、おう。」
 いつの間にか結構歩いてたんだな。
 楓谷はじゃあ、と言って礼をして歩き出す。
「楓谷!」
 俺は、後ろから楓谷を呼び止めた。