テスト当日。
 ついにこの日が来てしまった。
 勉強もしないで出歩いていた俺は絶望していた。
 結果、テストはぼろぼろで終わった。
 進路にも関わるテストだったのに。
 放課後、廊下を途方に暮れて歩いていると、後ろから声をかけられた。
「神守君!」
  振り返ると、佐藤先生がいた。
「あ。こんにちは。」
「こんにちは。ところで・・・テスト、どうだった?」
「・・・ぼろぼろっす」
 すると、佐藤先生を呼ぶ放送が流れた。
 佐藤先生は行くね、と言って行ってしまった。
 振り返り、また歩き出す俺。
 でも俺は、すぐに足を止めた。
「楓谷・・・。」
 玄関で立ち尽くす楓谷がいた。
 ゆっくり近づき、楓谷の見つめる先を見た。
 下駄箱の中の楓谷の靴。
 楓谷の靴の中にはゴミや土が詰められていた。
 俺に気付いた楓谷は驚きもせず、
「いつものことだから。」
 と言って、玄関にあったゴミ箱に靴の中の物を捨てた。