なぜか、楓谷と居てあげたかった。
 その日の放課後、俺は保健室に行った。
「・・・」
 誰もいない。
 もう楓谷は帰ってしまったのだろうか。
 ガラガラッ。
 ドアを開ける音がした。
 楓谷だった。
「・・・」
 やっぱり俺達の間には沈黙が流れる。
「あのさ。」
 初めに口を開いたのは俺だった。
「・・・何?」
 楓谷はドアを閉めて俺と向き合った。
 でも・・・話しかけたは良いが、言う言葉が見つからない。
「・・・・・・・・・。」
「何か用?」
 楓谷がめんどくさそうに言った。
「い・・・一緒に帰らないか」
 馬鹿野郎・・・。
 俺は自分にそう思った。