1年の時は、保健室登校ではなく、ずっと家に閉じこもっていた。
 2年になって、書店で佐藤先生と出会い、保健室登校を始めたらしい。
 でも、やはり学校は怖いらしい。
 楓谷は、生徒にいじめられていただけではなかった。
 教師からも、親からも。
 他の生徒とは全く違う扱い。
 親からは毎日の虐待で痣を作っていた。
 彼女は心身ともに、ぼろぼろだった。
「可哀そうな子よ。」
 先生は少し涙目になっていた。
「ありがとうございます。」
 俺は頭を下げた。
「神守君。」
 頭を下げる俺を先生が呼んだ。
「はい?」
「あのね。先生には何もできないの。だからね、神守君にもはなちゃんのサポートをしてほしいの。」
 先生は俺を見つめた。
 少し見とれてしまった。
 俺はコホンと咳払いをして聞いた。
「・・・サポートってなんですか。」
「ただ一緒にいてあげるだけでいいの。」
 俺はそれを承諾して職員室を出た。
 楓谷と一緒に居れば俺まで酷い仕打ちを受けるかもしれない。
 それでも気にしない。