「ただいま……」
気分が良くない。
どうしてだろう……。
「瑠璃。お帰り、少し話があるの。座ってちょうだい」
神妙な面持ちで、お母さんが私をソファーに座らせた。
「お父さんが転勤になったの」
「え……」
「別に、お父さんは単身赴任で良いと言ってるけど、私は嫌だわ。家族は離れたくないもの」
「……私も、そう思います。ですが、転勤とは…何処に……?」
「大阪よ」
大阪……ああ、私ってついてない。
折角、萌子さんや萌斗君や多分……柳瀬君も……友達になれたのに。
「瑠璃、行きたくない?」
「あ、いや……」
「お父さんに着いていくか、行かないかは瑠璃が決めていいわ」
そう言うと、お母さんは立ち上がりごはんにしましょうと言って、支度にとりかかった。