俺は、風呂を上がると、庵の部屋に入り、庵の眠るベットに腰かけた。
そして、そっと庵の髪の毛を撫でた。
俺は、守れるだろうか?
庵も、茉咲も、母さんも、萌子も……。
正直、自信が無い。
これから先、俺のバイト代だけで皆を養える訳が無い。
もちろん、大学には行かず就職するつもりだ。
父さんと母さんが働いていた頃の貯金だって、もう数少ない。
辛い―――。
どうして、普通の高校生がこんな思いをしなきゃならないんだよって……
周りの奴らが遊んでる時にだって、俺はバイトばっか……
本当は、遊びたいし、バイトなんて御免だ。
でも、俺が2人を見捨ててどうする?
アイツらが頼れるのは俺しかいないんだ。
庵だって、本当はゲームとかおもちゃとか欲しいだろうけど、買ってなんて言われた事は一度もない。
茉咲は、ブランドモノの洋服とか欲しいんじゃないか?…なのに、セール品の洋服で我慢してる。
庵も茉咲も協力してくれてるんだ。
だから、俺が出来る事は、働いてお金を稼ぐだけ。