「萌ちゃん、今日は泊っていけば?」
庵を寝かしつけた茉咲は、眠そうな眼を擦りながら萌子に問いかけた。
「もう10時か……でも、明日も学校だし帰るよ。茉咲ちゃんありがとう」
「そっか、気をつけて帰るんだよ。じゃあ、おやすみなさい」
「お休み」
茉咲が部屋に入るのを見送ると、萌子は俺の顔を見つめた。
「どうした?」
「嘘みたいだなあって。」
「何が?」
「目の前に純遊が居るのが。」
嬉しそうに微笑んだ萌子の顔を見つめていた俺だった、が。
なぜか、頭の中には悲しそうに笑んでいる瑠璃の顔が浮かんでいた。