「柳瀬君っ!」



淡々と歩いている柳瀬君を走って追いかける。



「待って下さい!」



そう言うと、柳瀬君は思っていたより素直に立ち止まって、こちらに振り向いた。



「……ごめん」

「え?」

「ムキになった。ごめん」



本当に済まなそうに言う柳瀬君を見て、私はモヤモヤした感情が胸の中に生じた。



「此方こそ、ごめんなさい。でも、萌子さんとこのままでいるのだけは、私が許しません」



うん、判ってると言ってまた歩き出した。