私はただただ、そこに立ち尽くすだけだった。

その時、萌子さんが近づいてきた。



「ありがとう、もう良い。」



萌子さんも教室を出て行った。

私は、目から涙が流れて来た。
如何して、人の役に立つ事が出来ないんだろう。



「瑠璃……ッ」



その時、私は凄く良い匂い包まれた。

気づいた時には、私は萌斗君に抱き締められてて、クラスの女子たちがキャーキャー騒いでいた。



「え?え?」

「辛かった?……前言撤回する。お姉ちゃんの為じゃなくて、自分の為に……今、純遊を追いかけて」



萌斗君は私の肩を掴んで、私を離すと、後ろを向かせて背中を押した。



「ほら、いってらっしゃい」



今、柳瀬君を追いかける事が自分の為かどうかは判らない。
でも、今はただ柳瀬君を追いかける事しか出来ない気がして……



私は、走り出した。