「荻原さーん」
「どうなさったんですか?萌斗君」
「僕の大事なお姉ちゃんの為に、頼んだよ」
「はい」
とは、言ったものの。その真相は判らなかった。
「柳瀬君、起きて頂けませんか?」
「ん……」
「柳瀬君」
「ッんだよ」
少し怒り気味の口調に私の方がビクッと揺れた。
「如何して……如何して好きな人にあんな言い方しか出来ないんですか?!」
思わず立ち上がって、皆の前で大声を出してしまった。
「あ……」
皆が、こちらを見ている……もちろん萌子さんも。
すると、柳瀬君も立ち上がってッチと舌打ちをして
「カンケーねーだろ。テメーは何でイチイチ口突っ込んでくんだよ!」
私に怒鳴りつけて、教室を出て行ってしまった。