ピンポーン。


チャイムの音が鳴った。
きっと綾香だ!
そう思って選んでいた洋服をベットの上に放り投げて階段を急いで降りた。
玄関を開けるとそこには…

綾香じゃなく、充貴だった。


「…え、みつ、き?」

「ん、充貴です。」


私が口を開けて問うと、充貴はニッ、っと静かに笑った。
ちょっとキュンときたのは気のせいってことにしよう。


「なんで充貴が此処にいんの?」

うわ、私、可愛くない…。


「ん、チケット、渡すの忘れてたから。」


「あ、わざわざいいの?買ったほうが充貴の収入にもなるじゃん。」


笑いながら言うと、


「いや…ほかの3人には渡して、夕凪にだけ渡さないのはだめだし…。」


充貴は、その表情ひとつ変えないまま言って、ポケットの中から
1枚のチケットを私に差し出してきた。