……彼の指は、
とても優しい音を奏でる。
まるでゆりかごで眠る子どものように、
私を縛り付ける全てのものを解き放つ。
ゆっくりと溶けていくような…
だけど力強く抱きしめられているかのような、
満ち足りた安心感。
それ以上近付けば、きっと私は溺れてしまう。
彼の瞳が、
私の心をかき乱す。
あの指に触れられたいと、
欲望がうごめく。
…そんなことしたら、
彼まできっと汚れてしまう。
私の絶望に満ちた欲望で、
彼を飲み込んでしまう。
そんなこと、あってはならない。
…だから私は、今日も想う。
幸せな夢をみる。
…それは決して叶うことのない、
2人で奏でる、甘い旋律。