「…死にたかったんですか?」


医者が口を開く。


その問い掛けに

僕は答えた。



「分からない…。

ただ、…。」



「ただ?」


「僕よりも

助かって欲しい命は

たくさんありました。

生きていく事が

辛くても

懸命に生きていた命が

たくさん

ありました。


僕は、

僕の命なんかよりも

その人たちに

生きて欲しいと

思ったんです。」



気付くと

涙が目に溢れていた。