シユウとブランカはそそくさと
その場を去る。
あっさりすぎるだろ、シユウ。
その手は不必要だろブランカ。おい。

「時間はないからよく聞きなさい。」

唐突に透き通った声が聞こえる。
お母様の声であってお母様じゃない。
そんなような感じがした。

「きっとその辺りにいるのでしょう。」

視線は絡むことなく絶えず動いている。
一瞬だけ、こちらを向いた。

…お母様?

いつもとは違う印象で、
戸惑いを隠せない。
いや、誰も見えないのだから
隠さなくてもいいのか。うん。