「いってらったーい。」

いや、能天気ですね。お母様。
よりによって、何で雨の日なの?
体温、直に感じちゃうじゃん。

背中に当たる、広い胸板は
私を暖めるようにくっついている。
そこから、たまに伝わる鼓動は
私より遅めのテンポで。
・・・なんか負けてるみたい。

「・・・行ってきます。」

期限付きの花嫁修業。
裏での思惑を、私は知る由もなかった。