ベールがゆっくりと、視界から消える。
周りの景色がはっきりする。

「何で戸惑った?」

小声で聞かれる。

「私と結婚して・・・シユウは幸せ?」

王子となれば、今まで以上に責任が
とてつもなく重くなる。
今ならまだ、引き返せる気がして。

「俺は幸せ。ノーラが俺の物になって。」

「ちがっ!そういう意味じゃなくて・・・。」

神父様が心配し始めた。
民衆もどよめきを隠せない。

「・・・俺は何があっても、お前の傍に
いれることだけが幸せ。
傍に居れるなら王子にだってなる。」

涙が溢れた。
愛しいあなたが、傍にいてくれると
言ってくれた。それが嬉しくて。

頤が、あげられる。