「葵、里紗子ちゃんとこ行くわよ」

「はーい」

美海の家は、港近くの坂道を登ってすぐにあって。
家から普通に、海が見える。

―ピンポーン―…

「はぁーい」
家の中から聞こえてきたのは…美海の声だ。

「…あ…あれ、え!?葵!?」

あたしは、片手をひょぃっと軽くあげる。

「急にごめんね、里紗子ちゃんいる?」

「え?お母さんなら、港に行ったけど…会わなかったの?」

「え!?」
お母さんは、走って港に戻った。

「…葵も花恵ちゃんも変わってないね?」