前の人の名前が呼ばれ、あたしは息を飲んだ。 次は、あたしだ…。 『…日向…葵』 「…はい」 静かに返事をして、ステージの階段をのぼる。 「卒業…おめでとう」 「ありがとうございます…」 あたしは小さく呟いて、席に戻った。 『以上…男子328名、女子297名、計625名…』 中学では、ろくにちゃんとした卒業式をしてないあたしには、小学校以来の緊張だった。 案の定、夏南は式中も終わったあともずっと泣いていた。